糖尿病の症状
ほとんどの人は無症状ですが、高血糖が続くと以下のような症状があらわれます。
以下のような症状があれば、一度、血糖検査を受けて下さい。
糖尿病の自覚症状
- トイレが近く尿の量が多い
- たくさん食べてもやせる
- 手足がしびれたり、足がつる
- 空腹感が強く食欲旺盛
- だるい、疲れやすい
- 異常にのどが渇く
糖尿病の検査
A. 血液検査
- ①血糖値
- 空腹時(当日の朝食を食べずに空腹で測定)と随時血糖(時間を決めずに測定)があります。一般的に血糖値といえば、空腹時血糖です。
- ②HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
- 1,2か月前の血糖の平均値です。
- ③GA(グリコアルブミン)
- 約2週間前の血糖の平均値です。貧血のある方や妊婦さんに測定することがあります。
- ④インスリン
- 膵臓から分泌される血糖を下げるホルモン。
インスリン量が少なければ、インスリン注射を考慮しなければなりません。
当院では、①②に関しては、静脈からの採血はせずに、
イラストのように指先でのチェックで、数分ほどで結果がでます。
B. 尿検査
糖、蛋白、ケトン体などをみます。
⇒当院では1分ほどで測定できます。(ただし、具体的な蛋白量に関しては、結果は後日になります)
糖尿病の診断方法
血液検査で行います。検査項目は、血糖値とHbA1cです。
糖尿病型の判定
- 空腹時血糖126㎎/dl以上
- 随時血糖200㎎/dl以上
- 75g経口ブドウ糖負荷試験※で2時間値の血糖200㎎/dl以上
- HbA1c6.5%以上
- HbA1cと血糖値がいずれも「糖尿病型」のとき
- 血糖値を2回測定していずれも「糖尿病型」のとき
- 血糖値が「糖尿病型」で「糖尿病の典型的症状(口渇・多飲・多尿・体重減少など)」または「確実な糖尿病網膜症」があるとき
※75g経口ブドウ糖負荷試験とは・・・
正常型か境界型(いわゆる予備軍)、糖尿病型を診断するために行われます。明らかに糖尿病の方には行いません。
もちろん、当院で行うことは可能です。
<検査方法>
検査前日の22時以降から絶食(お茶、お水は可)で、当日の朝食もとらずに10時までに来院していただきます。
まずは、血糖検査を行い、225mlのブドウ糖液を飲んでいただきます。
その後、30分、60分、120分後に血糖(インスリンも)検査を行います。
120分後の検査が終了するまでは、絶食(お茶、お水は可)です。結果は、数日後になります。
糖尿病の分類
糖尿病といっても、いくつかの種類があります。
ここでは、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病について説明します。
1型糖尿病
血糖を下げるホルモンであるンスリンがほとんど分泌できず、血糖が上昇する。そのため、インスリン療法が必要になります。
2型糖尿病
血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌量が不足したり、働きが悪くなって、血糖が上昇する。内服やインスリン療法など、様々な治療法があります。
生活習慣が大きく影響します。遺伝的な体質に、環境要因
(食べ過ぎ、運動不足、肥満、ストレスなど)が加わって発症するといわれています。
1型糖尿病と2型糖尿病の相違点
1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
成因 | 自己抗体を基礎にした、すい臓β細胞の破壊により発症 | インスリン分泌低下・抵抗性に、運動不足などの環境因子が加わり発症 |
インスリン分泌能 | 絶対的欠乏インスリン依存状態 | 相対的なインスリン分泌低下や抵抗性インスリン非依存状態 |
基本となる治療法と補助的な治療法 | 基本:インスリン療法 補助:食事と運動 |
基本:食事と運動 補助:薬物 |
遺伝的な素因 | 2型の場合より少ない | しばしばあり |
発症年齢 | 小児~思春期が多いが、中高年でも認める | 40歳以上に多いが、若年発症も増加 |
肥満度 | 関係なし | 肥満または肥満既往が多い |
膵島関連 自己抗体 |
GAD抗体、ICA、IA-2、IAAに陽性率が高い | 陰性 |
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて発見または糖尿病に至っていない糖代謝異常です。
糖尿病家族歴、肥満、過度の体重増加、巨大児出産の既往、尿糖陽性などがあれば、妊娠糖尿病になりやすいです。
妊娠糖尿病の確定診断は、75gブドウ糖負荷試験で行います。
血糖値が高いと、妊娠高血圧症候群、巨大児、新生児低血糖、黄疸など合併症が見られることがあります。
妊娠中の血糖管理は、食前血糖100㎎/dl未満、食後2時間血糖120㎎/dl未満と、かなり厳格な管理が必要です。
治療は、食事・運動療法、インスリン療法です。
産後、血糖値が正常化しても、将来、2型糖尿病を発症することがありますので、定期的に検査を受けましょう。
治療
1.食事療法
1日に必要な摂取カロリーは、標準体重に身体活動量(およそ25-35)をかけて計算します。計算式は以下です。
適正エネルギー摂取量=標準体重×身体活動量(25-35)
外食時は、メニューにカロリーが記載してあることがありますので、参考にして下さい。
合併症の程度によっては、摂取カロリー、塩分、タンパク質の調整が必要になります。
カーボカウントもあります。詳細は、外来にてご説明します。
2.運動療法
1日20〜30分のウォーキングをおすすめします。
ただし、主治医より運動禁止・制限がある場合は、控えて下さい。
運動中は、低血糖に注意が必要です。
軽い糖尿病であれば、食事療法と運動療法のみでコントロールが可能です。
3.薬物療法
食事・運動療法で血糖コントロールが困難な場合は、薬物療法を行います。
薬物療法は、飲み薬、インスリン注射、インスリン以外の注射薬があり、それぞれ、いくつか種類があります。
様々な薬剤を組み合わせて治療を行っていきます。
薬について疑問点があれば、ご相談下さい。
糖尿病合併症
細小血管障害=糖尿病三大合併症
- ①糖尿病神経障害
- 左右対称に手足の指先からしびれや痛みなどがみられる。
- ②糖尿病網膜症
- 網膜の血管に障害が起こり、視力障害の引き金になる。眼科で精査が必要。
- ③糖尿病腎症
- 腎臓の働きが低下し、蛋白尿がみられる
大血管障害
・脳梗塞
・狭心症・心筋梗塞
・下肢閉塞性動脈硬化症など
感染症
・歯周病
・気管支炎、肺炎
・水虫(白癬)
・尿道感染症、膀胱炎
・水疱
・できもの など
血糖コントロール目標
合併症予防のため、HbA1c7%未満を目標に
目標 | 血糖正常化を目指す際 | 合併症予防のため | 治療強化が困難な際 |
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HbA1c(%) | 6.0未満 | 7.0未満 | 8.0未満 |
ただし、年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別の設定も行う。